日本のきもの、日本の染め物を代表するものが友禅染であり、これは世界に類をみない日本が誇る伝統的工芸品です。

これは日本風土が季節の動きに敏感な人々を育み、季節感を暮らしや装いの中に取り入れ生かす伝統文化を作り出した賜です。

友禅染は季節感を入れて模様にするだけでなく色彩と結びつけて、いっそう深さを増す手法で衣装やインテリアとして、300年間受け継がれ今日でも高級品とされております。



織物や他の染め物に比べ、どんな絵模様をも複雑多彩でしかも精巧にそして自由に染めることができます。織物は別に染めておいた色糸を織り込んでゆくので先染めですが、後染めといわれる友禅染は白地に織った生地に下絵をつけ、これに沿って糊を置きます。糊はおもに糯粉や糠を材料に出来ており、糸目糊といいますがこれで隣り合った色が混じり合わないように防染します。糊は非常に細かい複雑な文様の輪郭をくくることを可能にし、これにより多色染めの精密な模様が描けるようになったのです。筆や刷毛に染料をつけ濃淡や暈かしを入れて思いのまま文様を表現し、白生地の部分を後で染めます。友禅染の由来は元禄の頃(1688〜1704)扇職人の宮崎友禅斎が糸目糊を考案し、友禅染といわれていますが彼の発明ではありません。手描き友禅染は糊の最適な表現方法を得て民族衣装として発展しました。世界に誇る絹織物を用い、友禅は古典や調度品、物語性や季節感のある題材を模様化し、綿密な技巧を凝らしつつ自由な発想と華やかな彩りで表現できるようになったのです。



東京の旧称で、現在は「東京手描き友禅」として経済産業省から伝統的工芸品として認定を受けており、東京、金沢(加賀)、京都で染められた友禅が三大友禅と呼ばれている。

明治以降、型紙使用の型友禅が出来て量産されるようになったがこの友禅も含めて京都や加賀では友禅と呼ぶのに対し、江戸友禅はすべて手描きで染め上げるものだけをいう。

京都や金沢は製作工程が細かく分業化されているが、東京では友禅作家が糊職人と染め屋と取り組み全行程を担う。そのため友禅作家の個性や力量が直接作品に反映する。

「江戸友禅」の作風は藍を基調として淡彩に染め上げる技法や、糊味を利かせ粋に染め上げるのが「江戸前」とされたのが特徴。その中に江戸解(えどとき)文様がある。これは花鳥や風景、天象など古典的な文様を物語性を持たせて描いたものである。

江戸友禅の起こりは京都から模様絵師が江戸の浅草見附・日本橋・神田に移り住み下町の浮世絵師などに友禅の技法を継承したのが始まりで、文化・文政の頃(1800年代前半)には江戸でも盛んになった。その後、隅田川、神田川など水利によって発展し、よりきれいな上流を求めて手描き友禅は早稲田、落合へと広がっていったが現在は江戸友禅の継承者は少ない。