友禅意匠作家 金子直美
大分県日田市出身、現在東京都杉並区在住。
グラフィックデザイナーを経て、友禅の世界に入り、江戸友禅の第一人者、故熊谷好博子に師事。
1972年 独立、かねこ友禅設立。
東京都杉並区で着物制作活動を開始。
1974年 かねこ友禅教室設立。
主宰、金子直美 顧問、熊谷好博子。
以後、青森、秋田、岩手、長野と東京手描き友禅の教室を開設し閉鎖的な徒弟制度を打破し、どこよりいち早く一般に門戸を開放し、東京、長野でプロ養成を、並びに杉並区と「江戸友禅」の普及に取り組む。
1989年から豪州、欧州など7カ国で作品展を開催、ベルギー衣装博物館、ベルギー王室、ランス商工会議所(仏)への作品寄贈と海外活動も積極的に展開。
以降、パリでの展覧会、有力デザイナーとのコラボレーション、リビング装飾分野での活動など、江戸友禅の新たな可能性を拡張した。
かねこ友禅の特徴
かねこ友禅は伝統的工芸品として経済産業省から認定を受けています。
すべて友禅意匠作家、金子直美の作品で「江戸友禅」を継承。
- 伝統技法と独自の技法を駆使し、江戸時代から伝わる古典模様や身近な調度品から四季の草花、鳥、自然をモチーフにした具象から抽象まで幅広く創作
- 作品には季節感や風情を持たせ詩情を醸し出す表現や、また幸運、繁栄などの願いを込めて作品ごとに意味を持たせた作風が特徴
- かねこ友禅の染料は「JIS規格堅牢度試験」で確実な効果と安全性が保証された日本で唯一の染料を使い、伝統の重みある色合いを醸し出すのが特徴(一般のシルク染料は色あせや、水、汗、摩擦に弱いことが難点)
- 品質面では世界最高級の絹織物を使用
時代にあったテースト、技法と幅広いノウハウを持ち、リビング、クチュール、雑貨、絵画等各方面からのリクエストに対応、国内外に活躍している。
友禅師は男性が多い中、金子直美は数少ない女性の江戸友禅を継承する友禅意匠作家。
女性特有のきめ細やかな感性で「新素材への挑戦と優れたデザインや作り手のメッセージが肌で感じられる手仕事の作品的価値が発揮できる」芸術派の友禅を追求している。
江戸友禅(東京手描き友禅)とは
東京の旧称で、現在は「東京手描き友禅」として経済産業省から伝統的工芸品として認定を受けており、東京、金沢(加賀)、京都で染められた友禅が三大友禅と呼ばれている。
明治以降、型紙使用の型友禅が出来て量産されるようになったがこの友禅も含めて京都や加賀では友禅と呼ぶのに対し、江戸友禅はすべて手描きで染め上げるものだけをいう。
京都や金沢は製作工程が細かく分業化されているが、東京では友禅作家が糊職人と染め屋と取り組み全行程を担う。
そのため友禅作家の個性や力量が直接作品に反映する。
「江戸友禅」の作風は藍を基調として淡彩に染め上げる技法や、糊味を利かせ粋に染め上げるのが「江戸前」とされたのが特徴。
その中に江戸解(えどとき)文様がある。
これは花鳥や風景、天象など古典的な文様を物語性を持たせて描いたものである。
江戸友禅の起こりは京都から模様絵師が江戸の浅草見附・日本橋・神田に移り住み下町の浮世絵師などに友禅の技法を継承したのが始まりで、文化文政の頃(1800年代前半)には江戸でも盛んになった。
その後、隅田川、神田川など水利によって発展し、よりきれいな上流を求めて手描き友禅は早稲田、落合へと広がっていったが現在は江戸友禅の継承者は少ない。
友禅染とは
日本のきもの、日本の染め物を代表するものが友禅染であり、これは世界に類をみない日本が誇る伝統的工芸品です。
これは日本風土が季節の動きに敏感な人々を育み、季節感を暮らしや装いの中に取り入れ生かす伝統文化を作り出した賜です。
友禅染は季節感を入れて模様にするだけでなく色彩と結びつけて、いっそう深さを増す手法で衣装やインテリアとして、300年間受け継がれ今日でも高級品とされております。
織物や他の染め物に比べ、どんな絵模様をも複雑多彩でしかも精巧にそして自由に染めることができます。
織物は 別に染めておいた色糸を織り込んでゆくので先染めですが、後染めといわれる友禅染は白地に織った生地に下絵をつけ、これに沿って糊を置きます。
糊はおもに糯粉や糠を材料に出来ており、糸目糊といいますがこれで隣り合った色が混じり合わないように防染します。
糊は非常に細かい複雑な文様の輪郭をくくることを可能にし、これにより多色染めの精密な模様が描けるようになったのです。
筆や刷毛に染料をつけ濃淡や暈かしを入れて思いのまま文様を表現し、白生地の部分を後で染めます。
友禅染の由来は元禄の頃(1688~1704)扇職人の宮崎友禅斎が糸目糊を考案し、友禅染といわれていますが彼の発明ではありません。
手描き友禅染は糊の最適な表現方法を得て民族衣装として発展しました。
世界に誇る絹織物を用い、友禅は古典や調度品、物語性や季節感のある題材を模様化し、綿密な技巧を凝らしつつ自由な発想と華やかな彩りで表現できるようになったのです。
日本のきもの、日本の染め物を代表するものが友禅染であり、これは世界に類をみない日本が誇る伝統的工芸品です。
これは日本風土が季節の動きに敏感な人々を育み、季節感を暮らしや装いの中に取り入れ生かす伝統文化を作り出した賜です。
友禅染は季節感を入れて模様にするだけでなく色彩と結びつけて、いっそう深さを増す手法で衣装やインテリアとして、300年間受け継がれ今日でも高級品とされております。
江戸友禅の制作工程
1.下絵付け
下絵は白生地に図案を描く作業。
新花(化学薬品)又は藍花(ムラサキツユクサの花汁を和紙に浸したもの)を使用し描く。
これらは蒸気で消えるのが特徴。
2.糊置き
糸目糊置きは防染のために糸のような細い糊を下絵の線に沿って置いていく作業。
円錐形の筒に糯粉と糠で出来た糊を入れ、指先で搾り出しながら下絵の線上に置いていく。
糸目糊は、図柄部分に色を塗るときに、にじみ出ないように防染する役目。
3.地入れ(1回目)
地入れは置かれた糊を生地に定着させ、色のはみだしを防ぐための作業。ふのり(海草の一種)又はCMC(化学糊)や豆汁を水でといたものを、生地全体に塗る。
4.色挿し
色挿しは防染された図柄の部分に筆で色を塗っていく作業。
5.伏せ糊
伏せ糊は色挿しの終わった図柄の部分に防染のための糊を置く作業。
伏せ糊は、地色を塗るときに、染料が図柄部分に入らないように防染する役目。
6.地入れ(2回目)
地入れは置かれた伏せ糊を生地に定着させ、図柄への色のはみだしを防ぐための作業。
ふのり又はCMCや豆汁を水でといたものを、生地全体に塗る。
地染めは模様以外のバックとなる部分を刷毛で染める作業。
7.蒸し
蒸しは染料を定着させるための作業。絹の染料は、蒸気により繊維に定着する性質を持っているため、40分蒸す。
8.水元
水元は水で糊を洗い流す作業(友禅流し)。
張りは布についた水分を均一にするための作業。
生地を細かく伸子を使ってしわのないように張り、空刷毛をかける。
9.湯のし
湯のしは生地の幅を均一に、元通りにする作業で生地に蒸気をあてる。
10.仕上げ
仕上げは模様をより引き立たせ、美しく見せるための作業。
出来あがった作品にお化粧する(例えば、花の花粉を描く)。
江戸友禅は白く残る糸目糊の味が命です。
金、銀箔は本来使わなくとも耐えられるものが、良い友禅です。
最近は、箔や刺繍などを施すことが流行している。